2018夏ゼミ研修

ムンド・デ・アレグリア 浜松夏合宿活動報告  関根冴香

 

私たち3年芦沢ゼミ2018年8月8日から9日にかけて、静岡県浜松市の日系ブラジル人・ペルー人学校 ムンド・デ・アレグリアにて研修を行い、日系ブラジル人・日系ペルー人の教育環境について学ぶ貴重な機会となりました。同校の特色として、母語教育に加え、日本語教育にも力を入れていることが挙げられます。そんなムンド私たちが経験した具体的な内容としては、日本語授業の見学・日本語指導や、音楽の授業などに参加させていただき、生徒のみなさんと交流を行いました。

この研修の目的は、実際に日系人が学ぶ学校を訪問することで、ブラジル人・ペルーからの移民や出稼ぎ労働者の子供が置かれている状況やニューカマーと呼ばれる定住外国人が直面している教育環境について理解することでした。

[ムンドの学生からサンバを習う様子]
[ブラジル高校生クラスの授業風景]

母語体験授業について

母語体験授業では、日本人を毎日使っている私たち芦沢ゼミ生がムンド学生の主な第一言語であるポルトガル語とスペイン語で行われる授業に入りました。全くわからない言語で授業を受ける心細さなど、日本語を母語としない子供たちが学校でどう感じているのかを、短時間ながら感じることができました。近くにいた生徒さんが補足説明・通訳してくれるなど、子供たちの優しさに助けられた場面も見受けられました。

日本語授業見学・日本語指導について

研修生2-3名ずつに分かれそれぞれの教室に入り、日本語指導、主な活動内容として読み聞かせを行いました。事前に読み聞かせの本を選び・生徒のレベルに合っているか確認しながら、授業運営についても気にかけながら準備を進めました。何かを教えること自体に慣れていない参加者が多かったため、多くの学生が日本語を教える難しさを実感した様子でした。そんなコミュニケーションが難しい中でも、言葉の壁を超えながら授業を進められたことに達成感を感じた学生もいました。

読み聞かせ

研修生6名が3名ずつに分かれ、ブラジルの小学1年・2年生クラスにて読み聞かせを行いました。小学校低学年のため、まだ日本語が読めないまたは語彙が少ない生徒が多いということを考慮し、取り扱う図書は絵が多い・声を出して楽しめる・動きがあるなどの点から選定を行いました。また、読み方も子供たちに飽きが来ないようにしっかりと声に抑揚をつけ、感情をこめて語るように心がけました。日本人の小学生にする読み聞かせに比べ、日系人の子供たちに本を読むには言語能力や文化背景への配慮が必要になるのだということを実感しました。

[1年生クラス読み聞かせの様子]
[本の絵をまねて一緒に動く様子]

日本語指導

日本語指導体験では、ゼミ生2人がブラジル人の初級クラスに入り、漢字の指導を行いました。研修前に授業の指導案を考えたり、資料を作ったりして準備を進めました。日本語を子どもたちに教えることの難しさを感じた反面、子どもたちが楽しんで漢字を学習できるよう、ゲームを用意するなどという工夫をして当日の授業に臨んだ結果、子どもたちが楽しんで熱心に授業を受けてくれて嬉しく感じました。現地の日本語教師の方からのサポートも受けながら、貴重な体験をさせていただくことができました。

キャリア交流

研修生6人は日本で大学や専門学校への進学を目指すクラスの学生5名と、過去を振り返り現在まで自分がどんなことをしてきたか、興味や関心などを基に将来やってみたいことやできそうなことを一緒に想像しました。日系人という文化背景を持ったおかげで、日本文化に興味を持ち、大学で深く学びたいと語る子や、自身のバイリンガルという強みを生かせる仕事がしたいなどと素敵な夢を語ってくれました。彼らの将来は家族の経済状況にかかっており、生活のために夢を諦めなければならない可能性を常に持っているということを念頭に置き話をするのは胸が痛みました。私たちが過ごす環境は当たり前でないということを強く実感した時間でした。

ご多忙にもかかわらず、2日間私たち芦沢研究室ゼミ生を快く迎えてくださり、研修に向けて熱くご指導くださいました松本校長・岡先生はじめムンド・デ・アレグリアの先生方、その他皆様に多大なる感謝を申し上げます。